
山なみさして雲かえる。
この表題は高校の校歌から拝借しています。
社会学者の高田保馬が故郷の旧制中学時代を回想し
楠の青葉を吹き鳴らす朝の風に対し
夕べの光景を詠んだものです。
今後、おなじ故郷に仕事場を移しますが
帰去来であれ、禅の万法帰一であれ、見知らぬ老境を
睨みつけることなく愉快に迎えいれる覚悟です。
「愚」かで「老」いゆく身であることを忘れずに
「軽」やかさに徹し、市井の片隅で
皆さんと共にしてきた広がりのある世界に身を委ね
山なみの向こうから立ちあがる空の
無尽の果てへと近づいていきたい。
そんな心境であちらこちらに居候することを期しています。
令和7年3月16日
愚老軽主人 井手誠之輔
出典:井手誠之輔「山なみさして雲かえるー文学部を退職するにあたってー」(『文学部会報』2025年3月)
経歴
1959年 佐賀市生まれ
1978年 県立佐賀西高等学校卒業
1982年 九州大学文学部哲学科(美学美術史専攻)卒業
1984年 同大学院修士課程修了
1984年 九州大学文学部助手
1987年 東京国立文化財研究所(現、東京文化財研究所)情報資料部研究員
1993年 同主任研究官
2000年 東京文化財研究所情報調整室長
2004年 九州大学大学院人文科学研究院教授
2015年 九州大学大学院人文科学研究院主幹教授
現在に至る